長崎県大村市が男性同士のカップルに交付した住民票の続柄に、事実婚関係の異性カップルに用いられる「夫(未届)」と記載していたことが5月27日にニュースになりました。家族として暮らしていても、同性カップルはこれまで「同居人」と記載されてきました。しかし長崎県大村市のほかに鳥取県倉吉市も同様の対応をしており、栃木県鹿沼市も同性カップルが7月から事実婚関係の続柄の表記を選択できるようになるとのことです。
秋田県内はどうか? パートナーシップ制度を導入している秋田市と潟上市に尋ねたところ、5月31日時点では秋田市、潟上市ともこれまで通り「同居人」と表記するとの回答でした。
続柄の記載方法については、1967年に旧自治省が各都道府県に出した通知「住民基本台帳事務処理要領」に次のように記されています。
世帯主との続柄の記載方法
世帯主との続柄は、妻、子、父、母、妹、弟、子の妻、妻(未届)、妻の子、縁故者、同居人等と記載する。(略)内縁の夫婦は、法律上の夫婦ではないが準婚として各種の社会保障の面では法律上の夫婦と同じ取扱いを受けているので「夫(未届)、妻(未届)」と記載する
要領には「同性カップルの続柄をどう表記するか」という定めはありません。しかし日本では同性同士の結婚が認められていないため、住民票の続柄もこれまでは「同居人」と記されてきました。(パートナーシップ制度の導入が進んだことで、新潟県上越市のように親族関係と認められる「縁故者」の表記を同性カップルが選択できる自治体も出てきました)
2022年4月にパートナーシップ制度を導入した秋田市では、長崎県大村市などの報道を受けて市民課が対応を検討したそうです。
秋田市市民課は「国の事務処理要領に沿った記載を行うという原則があるので、現時点では『同居人』と表記する。もし(同性カップルから)『未届の夫』や『未届の妻』という記載の申し出があった場合はそのことを説明して理解をいただいたうえで、県を通じて国にも確認して対応していきたい」と話しました。市民課によると、5月31日時点で当事者からの相談や要望は寄せられていないとのことです。
また2024年4月にパートナーシップ制度を導入した潟上市は「(当事者などからの)相談の事例はなく、具体的な検討は今のところしていない」(市民課)との回答でした。
住民基本台帳に関する業務を扱う秋田県市町村課によると、5月31日時点で県内の市町村から同性カップルの続柄表記に関する問い合わせはないそうです。県市町村課は「自治体から相談があった場合は他県の動向を見て、総務省にも確認しながら対応していきたい」と話しています。
〈参考資料〉
・朝日新聞デジタル カップル住民票、事実婚示す「夫(未届)」と記載 長崎県大村市(2024年5月27日)https://www.asahi.com/articles/ASS5W32K7S5WTOLB004M.html
・鳥取県倉吉市ホームページhttps://www.city.kurayoshi.lg.jp/2455.htm
・栃木県鹿沼市ホームページhttps://www.city.kanuma.tochigi.jp/0684/info-0000009630-1.html
・新潟県上越市ホームぺージhttps://www.city.joetsu.niigata.jp/soshiki/jinken/20230201.html
・秋田県秋田市ホームページhttps://www.city.akita.lg.jp/shisei/hoshin-keikaku/1011480/1033990.html
・秋田県潟上市ホームページhttps://www.city.katagami.lg.jp/soshiki/somu/kikakuseisaku/kikakuseisaku/pa-tona-/4936.html