秋田県知事 秋田市長に「気持ちを温かくして対応を」 障害者加算の返還問題

 秋田市で起きている障害者加算の返還問題について、秋田県の佐竹敬久知事が10月2日の県議会で初めて言及し「秋田市長には、気持ちを温かくして」対応してほしいと伝えている、と発言しました。秋田県知事から穂積志・秋田市長に「寄り添った対応」を求める発言です。

 秋田県議会の予算特別委員会(総括審査)の場で、石田寛議員の質問に答えての発言でした。

 石田議員はまず、秋田市の問題について県当局の考えを尋ねました。

石田議員 生活保護費の障害者加算認定の誤りによって過大支給した方に返還を求めるということが起きています。このことに対して千葉県の印西市の返還請求については、千葉県は違法または不当として返還取り消しの裁決を行っています。この判断を例に挙げ、秋田市議会で立憲民主党の工藤新一議員が「(秋田市は)再検討を行わないのか」と質問したところ、市当局は「(千葉県の)取り扱いの妥当性について現在、国や県に確認しているところで、その結果に基づき再検討する」と答弁しております。このことについて、県の検討はどうなっておりますでしょうか?

高橋一也・秋田県健康福祉部長 秋田市で返還請求を求めた方のうち1名が、県に対して審査請求を行っております。8月30日付で受理をしまして、現在審査員の方で審査している段階であります。県の取り扱いとすれば、法に従って適切に取り扱うということでありますけれども、そもそも千葉県の裁決の例は、返還そのものは違法だということではなくて――いわゆる被保護世帯側に瑕疵(かし)がないから返還請求が違法だということではなくて――返還を求めること自体は当然、法で求めていることなのですが、生活保護の特殊性から、法の中で、当該世帯の自立を著しく阻害することが認められる場合には一定の額を控除することができるということにされておりまして、社会的自立の阻害の部分の判断を(印西市は)誤ったということでありましたので、そういった部分を当県でも参考にしながら、審査請求については適切に対応してまいりたいと思います。

石田議員 障害者加算の受給者の方の瑕疵はないわけであってですね、長い間、会計検査院に指摘されるまで(ミスが)わからなかったわけだよね。自分たちのミスによって、突然「借金」を背負ったような状態になって、精神障害のある人がさらにダメージを受けているわけですよね。彼らにしてみればあまりにも、金額が大きいわけですよ。苦しい生活、厳しい生活の中から返還すると、困難だと誰が見てもわかるわけですよ。ですから、やっぱり千葉県のような判断をお願いしたいと思うんですけども、知事に見解をお聞きして、最後の質問にします。

佐竹敬久知事 (※冒頭、録音が不明瞭で知事の発言が聞き取れない部分がありました)こんなことあんまりね、法的にね、問題があるかもしれませんが、生活保護のかたがたですから、やっぱり気持ちを温かくして、そういう対応を市長にもね、「あんまり難しく言うな」と、そういうふうに言ってます。
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 この問題が発覚してから1年という今になって、ようやく支援団体にたどり着いた当事者がいます。今月半ばには、あらたに2人の当事者が「秋田市による返還決定を止めてほしい」と秋田県に審査請求(不服申し立て)を行う予定です。1年がたとうとしていますが、当事者が置かれている状況はむしろ過酷さを増しています。

 秋田県知事から投げられたボールに、秋田市長はどうこたえるでしょうか。注目したいと思います。

【参考資料】
・千葉日報 2024年7月10日 生活保護費13人に返還求めず 印西市の過大支給問題、千葉県裁決受けhttps://www.chibanippo.co.jp/news/national/1247495

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